一句を読み解く44

分け入れば水音 種田山頭火
無季の句であるが、「分け入れば」から夏の茂りを想像できるし、「水音」から清水や滝、夏の清流などが想像できる。五七五にのせて詠めば、「分け入れば水の音ある茂りかな」くらいだろうか。しかし、山頭火にとって下五は「お荷物」にすぎない。私たちはと言えば、うまい五文字がみつからないばかりに悪戦苦闘するのが常、うまく五七五に納まらないときは山頭火のように五文字を捨ててみるのもいいのかもしれない。
この句の接続助詞「ば」は順接の「ば」、「ば」によってもたらされることがらは、予期の範囲内にあるものということになる。「分け入れば水音」「分け入れば崖」「分け入れば石の仏」「分け入れば荒寺」「分け入れば青空」というようにいくらでも応用が効く「ば」である。
