妹のこと②_嘘
人に嘘をつくことは誰だってある。ちょっとした悪戯やいい訳に。あまりに真っ正直にこられてはこちらも辛い。人の世の潤滑油くらいの嘘なら人間の生み出した知恵くらいに思っていればいい。
困る嘘は人を傷つけ陥れる嘘だ。その根本にあるものは自分自身に嘘をつくことだろう。自己愛のため、自己防衛のため、自分自身に嘘をつきごまかし、そうだからと思い込もうとする。そのために人を傷つけ、平気で人を不幸にする。そうやって重い思いを胸に抱き、押し潰されそうになりながら毎日を過ごす。まあ当人がよいならそれも一つの選択肢だろう。
やがて時が来てお棺の蓋は閉じられ、生涯自分を偽った嘘は肉体とともに焼きあがるのか、それとも焼きあがった骨に影でも落とすのだろうか。
妹の通夜で若い僧侶は「修証義」の第一章を唱えた。「己に随(したが)い行くはただこれ善悪業等(ぜんあくごっとう)のみなり。」たいして良いこともしてこなかったけど自分の心に嘘をついてまで人生を捻じ曲げたり、人を不幸に落し入れたくないな。
そんな生き方とは無縁の屈託なく笑いかける妹の遺影が、様々なことを考えさせる。(立)
