まいまい句会 感想
峰々は燠の如くに初日出 いけさん
沢山点の入った句でした。日の出に染まる峰々を燠に例えた印象に残る鮮やかな句です。
賀状来る添え書の他は干支同じ いけさん
本当にその通りなのですが、読み手は「ああそうだな」で終ってしまいます。俳句はめでることも大切で、ものをめでる視点でつくると句の幅も広がるのではないのでしょうか。
水仙の折れを正すやつむじ風 いけさん
折れた水仙が風で元に戻ったと言うことだと思いますが、素直に折れた水仙を言ったほうが俳句になるのではないでしょうか。「咲き初めて風に折れたる水仙花」
動かざる一枚の葉や冬の蝶 朝男
一枚の葉っぱを冬の蝶にみたてているのでしょうか、それでしたら一枚の葉っぱのような蝶と言ったほうが良いのではないでしょうか。「一枚の葉っぱのごとく冬の蝶」動かないと言うことを強調したければ、凍蝶という季語もあります。
初散歩垣根の下の小花かな 朝男
新年になって初めての散歩を初散歩とされたのでしょうか、初散歩がちょっと落ち着きが悪いようです。散歩の途中に見つけた垣根の花に焦点を当てて句にしたほうが良いと思います。「二つ三つ垣根の裾の返り花」
裸木に小さき葉出ず明日かな 朝男
冬木の芽が明日にも開くと言うことでしょうか。冬木の芽(冬)、木の芽(春)と歳時記、では分けられています。少し意味が通じにくいように思います。
冬ぬくし支柱あまたの椎巨木 しんい
大きな木でありながら支えられて立っている木の姿でしょうか。「冬ぬくし」でも良いのですが、「冬ふかし」くらいでも良いと思います。
水占の大吉引ける初詣 しんい
初詣でおみくじを引くと言うあたり前の描写で終ってしまった感じです。初詣の季語を変えるともっと良い句になるとおもいます。季語をいろいろ置いて推敲するのも俳句の力をつけるのに役立つはずです。例えば「梅の花」とか少し季語を離すと良いと思います。
冬の闇破りて進む列車かな とも
破りてに工夫されたのでしょうがもう一歩進める努力を。下五は「列車進み行く」の方が動きが出るのではないでしょうか。
初風に押され幼子歩みけれ とも
歩みけれは少し違和感があります。歩みけり
鎌倉は人の波して初詣 孝雄
人の波と初詣が少しあたり前ではないでしょうか。
八葉の峰にあまねく除夜の鐘 孝雄
八葉とは八つの峰々に囲まれた盆地状の平地の地域を指すとあります。句柄の大きいしっかりした句でが、少し八葉の峰という言葉にに頼ってしまった感じがあります。
柔肌に齢を思ふ年の暮 孝雄
齢を思うは年齢を重ねることだと思いますが、それがどう柔肌との関係するのか少し意味が解りにくいようです。
新年や真昼の空に浮かぶ月 青村
かたちは出来ていますが新年らしさが感じられないのが欠点でしょうか。例えば「あらたまの真澄の空に昼の月」としても昼の月に新年の感慨はもてないのでは?
雪の朝日本海から太平洋 青村
日本海から太平洋が解りにくいようです。少し舌たらずでの感じがあります。
自らの重みで落ちぬ寒椿 青村
青村さんの句は形もよく、出来ているのですが今一つ読み手に感動が伝わって来ません。もう少し、言葉をよく選んで人に感動を与えるように工夫なさるともっと良くなると思います。
人日のニコライ堂に聞く聖歌 巨勢丸
風が吹くの吹く 歌を聞くの聞く 十七文字の俳句では省略すべき言葉ではないでしょうか。余分な言葉は俳句をだらけさせてしまします。「聖歌かな」と強調すると良いでしょう。
寒の入湯船に数をかぞふ癖 巨勢丸
このままでも良いのですが、ここは「大寒や」と切れを入れたほうが句が締まると思います。
学食のいつかがらがら初句会 巨勢丸
初句会で学食ががらがらになってしまったということでしょうか。初句会と学食の関係が読みてには遠く感じ、意味が解りにくいようです。
新暦剥ぐ離陸する時のごと いつせ
飛行機が陸を立つときの気分が新暦を剥ぐ気分と似ていることを言っているのだと思いますが「離陸する時のごと」が少し強引な気がします。つまり飛行機に乗るのは楽しい事ばかりではなく、様々の状況があるのでうきうきした気分を言いたければ、はっきりと言ったほうが良いと思います。
寒施業小さき祠の山の神 いつせ
以前、辻に立つ祠の脇に油揚げが置いてあったのを目にしたことがあり、いただいた句ですが「寒施行」と「小さき祠の山の神」が同じ重さであるのが難点のような気がします。
中七下五を軽くして「寒施行小さき祠の傍らに」ぐらいではどうでしょうか。
鴛鴦の一羽離れていじめかも 智絵
少し気持ちを自分にひきつけすぎたようです。俳句はなるべく客観的に詠んだ方が多くの方の共感を得れると思います。
商いの言葉巧みや街師走 富田山
「街師走」がこなれた言い方ではないようです。「年の市」とすると落ち着くのではないでしょうか
初凪や大玻璃に鳶ひるがへり ひとみ
おおらかな景色なのでしょうが、視点が分散して印象が薄い句になってしまったようです。
(りつ)
