一句を読み解く 190
顔入れて顔ずたずたや青芒 草間時彦
何のためにそんなところへ顔を入れたのか。俳句は字数の限られた文芸だけに、それをいちいち説明していては成り立たない。しかし、俳句の宿命で「何のために」という無言の問いかけは常に付いて廻る。したがって、「何のために」がさっぱりわからない俳句は、ひとりよがりの俳句として片付けられてしまうことになる。掲出の句は、草刈の場面などが想像できるが、誰しもが一度は経験しているようなこと、それゆえに「何のために」が省略できるのである。野球ボールを探しに青芒に分け入った、そんな子供のころが思い出された。(m)
