一句を読み解く 183
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐
教科書にも載っている有名な一句、上五が字余りになっているにもかかわらず、調べが美しいのは対句が効果をあげているからである。「対句」というのは、表現方法が同じ二つのフレーズであって、この句の場合は「赤い椿」と「白い椿」が対をなしている。ちょうど天秤ばかりの上で釣合っているようなおもむきである。俳句ではよく使われる対句、韻を整えるのにすぐれた表現方法である。(m)
それでは対句を駆使した句をいくつか。
一月の川一月の谷の中 飯田龍太(一月の川/一月の谷)
花に明けて花に暮ゆく一間かな 長谷川櫂(花に明けて/花に暮ゆく)
縁側の影紅梅も白梅も 高田正子(紅梅も/白梅も)
四半分白菜買うて肉買うて 山本しほ (白菜買うて/肉買うて)
月光に浮くも沈むも枯蓮 村上いと子(浮くも/沈むも)
一歩二歩あるけて三寒四温かな 田中えいこ(一歩二歩/三寒四温)
胎の子に腕の子に蹴られ春眠し 山内あかり(胎の子に/腕の子に)
