季語散策23 秋刀魚

形が刀に似ていることから秋刀魚という名がある。背は藍青色、腹は銀白色で体長は三十センチくらい、秋を代表する魚である。塩焼きにしたものに大根おろしをそえたり、すだちを絞ったりして食べる。
——-
腹わたはどうも苦手や秋刀魚食ぶ 高木晴子
つぶやきがそのまま俳句になった。
*
あす死ぬるいのちかも知らず秋刀魚焼く 三橋鷹女
達観したような俳句である。「秋刀魚焼く」が庶民的で、その落差が面白い。中が八文字の変則型。
*
ことしまた秋刀魚を焼いてゐたりけり 今井杏太郎
来年も同じ俳句が詠めるというもの。ただごとではあるが、どこかしみじみとしている。
*
秋刀魚焼く煙の逃ぐるところなき 菖蒲あや
家中にこもる煙、何もかもが秋刀魚くさくなりそう。
*
さんま大漁その一ぴきの焼かれけり 久保田万太郎
どんなに大量でも一尾あれば夕食には充分。
