少しだけ思いを抑えて
「出すことの叶はぬ文や冬昴 弥生」
句会の席上で「冬昴がきれいすぎる」との評があった句。少女小説に出てくるようなフレーズ「出すことの叶はぬ文」と「冬昴」の取り合わせがそう思わせるのでしょう。後でこの句をよく吟味してみると、「出すことの叶はぬ文」がやや説明的であることに気づきました。説明的なのですが、たっぷり思いが込められているので、いくらかは救われているということ。
できれば、説明的なものを取り除きたいのですが、これがなかなか難しい。説明的な表現を避ける方法として、句を「現在進行形」にするのが一つの方法ですが、はたしてこの句にそれができるでしょうか。
たっぷりとした思いを少し抑えて、「文したためてみたものの」くらいでどうでしょう。一応、「現在進行形」あるいは「現在完了形」にはなっているようです。表現を抑えることで「冬昴」という美しい季語もそんなに気になりません。季語を生かす、季語の顔を立てる、そのためにも少しだけ思いを抑える工夫をしてみてはどうでしょう。
冬昴文したためてみたものの
(きぬた)
