燕が人間の生活圏の近くで営巣するのは、天敵の烏や蛇が人間を警戒して巣に近づきにくいからだという。人間の生活を消極的に利用して安全を図っているようだが、烏の場合はもっと積極的に人の生活にかかわってくる。おもに、人間の食べ残しをあさるのが仕事であるが、巣作りの際には、ハンガーの針金やビニール袋、布切れなど人間の廃物を利用するという知恵も持っている。句の烏も巣作りのために屋根の藁を引き抜いているのだろう。おりしも桃の花の咲くころ、烏の濡れ羽色と桃の花の対比が鮮やか。初秋には実った桃のいくつかは、その烏の餌食になるのかもしれない。(m)「季語 桃の花(春)」