大呂13号あとがきより
役人に大切なことは忖度(他人の気持ちをおしはかること)らしいが、こと俳句の選に関しては忖度も斟酌も無用な心遣いである。句会などで「この作者の言わんとしていることは理解できる」というような発言をよく耳にするが、むしろ理解できないほうが作者のためになる。理解してもらって、中途半端な描写でも通用すると思い込んだらそれこそ意味不明の俳句を量産しかねない。あれこれ思考をめぐらして器用に選句するよりは、不器用で愚直な思考が選句にはためになる。不器用な思考は、余計な思い入れが入らない分だけ選句が早い、感動の受け取り方も直線的で、俳句に込められた思いが真っすぐに入ってくる。忖度も斟酌もない不器用な選句はすなわち、忖度も斟酌も期待しない俳句作りでもある。俳句はそこに示された十七文字だけがすべてである、そのことに今一度立ち戻ってみるのもいい。
