鍋物に火のまはりきし時雨かな 鈴木真砂女
色に関係することで「補色」という言葉がある。正反対に位置する関係の色を表す言葉で、たとえば「赤」ならその補色は「青緑」ということになる。真砂女の句の「時雨」と「鍋を煮え立たせる火」、この二つの関係も補色に近い概念で成立している。「寒いもの」と「熱い火」、「明るいもの」と「黒いもの」など俳句の取り合わせではよく見かけるものである。補色の関係を取り入れることで、輪郭のある鮮明な俳句になりやすいが、うまく取り合わせないと仕掛けの底が浅い俳句になりやすい。(m)
