夕顔になかなか暮れぬ空があり 岩井善子 大呂俳句会 投稿日:2015年7月8日 作成者: dvx223272015年7月8日 源氏物語の夕顔は、明るいながらもどこか儚げ、美人薄命を絵に書いたような女性である。夕暮に開き朝にしぼんでしまう夕顔の花も、どこかそれに通じる哀れさを持つ。句の夕顔、開いたばかりなのだろう。なかなか暮れぬ空ではあるが、どこか秋空を思わせる空でもある。縮緬のように皺を寄せた真っ白な花にも徐々に闇が忍び寄る。「空があり」の下五が味わい深い。 季語で単に「夕顔」といえば「夕顔の花」のこと、実を詠むなら「夕顔の実」といわなければならない。(m)