上五に五文字の季語を置いて、下五を「けり」で切る力強い俳句である。季語に関わる事象を描写して「一物仕立て」の俳句になっているが、季語とは関係のないことを描写して「取り合わせの俳句」とすることもできる形である。
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では、同じ形の句をいくつか。
走馬燈寝静まる子に廻りけり 野村喜舟
夏休み黒き兎が逃げにけり 小島健
更衣よき木よき葉をひろげけり 田中裕明
サングラス人に狎るるをおそれけり 西村和子
柏餅ずしりと力貰ひけり 山田弘子
青簾昨日のことは忘れけり 石田あき子
奈良団扇すなはち白を選びけり 長谷川櫂
梅雨出水橋を流してしまひけり 渡辺文雄
(m)