行く春や心の中の蓑一つ 長谷川櫂
京都嵯峨野の落柿舎の入口に掛けられている「蓑」である。そこに蓑がかけてあったら主人の去来は在庵、そこに蓑がなければ外出中である。
句は心の中にその蓑が一つあるという。問題はその蓑が何を意味するかということ。蓑は去来の粋であり、俳句的生活の象徴でもある。その蓑一つを心に住まわせるということは、俳人としての粋を心に住まわせることに他ならない。
「行く春」は諸行無常を感じさせる季語、常に移り行くこの世にあって、「心の中の蓑」は変わることのない俳句への思いでもあろう。(m)「季語 行く春(春)」
