今日の季語_昼寝
【鑑賞】
ひやひやと壁をふまえて昼寝哉 芭蕉
「ふまえて」は、踏むということ。足裏で冷たい壁を踏みながらの昼寝である。「ひやひやと」がいかにも気持ちよさそう。(m)
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午睡、昼寝覚、昼寝起、昼寝人、三尺寝
【解説】
昼間、少しばかりの時間眠ること。寝不足や暑さによる食欲不振などの体調を回復するのによい。
【分類】
三夏・生活
【例句】
ひやひやと壁をふまえて昼寝哉 | 芭蕉 |
昼寝して手の動きやむ団扇かな | 杉風 |
親方の見ぬふりされし昼寝かな | 一茶 |
糊ごはな帷子かぶる昼寝かな | 惟然 |
応と目をひらき再び昼寝しぬ | 阿波野青畝 |
うつし世の音にかへりぬ昼寝覚め | 阿部みどり女 |
何か負ふやうに身を伏せ夫昼寝 | 加藤知世子 |
昼寝妻さめて厨へ辿るなり | 皆吉爽雨 |
いやしさの肌見えてゐる昼寝かな | 岩田由美 |
斬られたるごとく昼寝の道具方 | 吉岡桂六 |
うつぶせにねるくせつきし晝寐かな | 久保田万太郎 |
他愛なき顔して居りぬ昼寝人 | 高橋淡路女 |
かびの香に昼寝してをり山の坊 | 高浜虚子 |
一切を抛擲し去り大昼寝 | 高浜虚子 |
そこに立つ座敷箒や晝寝覚 | 佐々木六戈 |
やはらかき稚子の昼寝のつづきけり | 山口誓子 |
暑き日の昼寝は少し死ぬに似て | 山田みづえ |
はしたなき昼寝の様をみられけり | 篠原鳳作 |
川蟹の垣にのぼり来昼寝宿 | 松本たかし |
桑畑を山風通ふ昼寝かな | 松本たかし |
さみしさの昼寝の腕の置きどころ | 上村占魚 |
これよりの心きめんと昼寝かな | 深見けん二 |
足しびれて邯鄲の昼寝夢覚めぬ | 正岡子規 |
松の中いたるところに昼寝人 | 西山泊雲 |
昼寝覚うつしみの空あをあをと | 川端茅舎 |
松の木に庭師来て居り昼寝覚 | 前田普羅 |
松風に近江商人昼寝かな | 村上鬼城 |
昼寝より覚め父もゐず母もゐず | 鷹羽狩行 |
禅僧とならぶ仔猫の昼寝かな | 長谷川櫂 |
大広間好きなところで昼寝かな | 長谷川櫂 |
半身は簾の内や昼寝人 | 辻桃子 |
屋根瓦ずれ落ちんとして午寝かな | 渡辺水巴 |
探しても妻の居らざる昼寝覚 | 日野草城 |
昼寝さめ農婦にもどる髪たばね | 福田甲子雄 |
剃髪は昼寝の夢でありしかな | 鈴木真砂女 |
座布団に頭の凹み昼寝覚 | 渡辺文雄 |
鉋屑散らかつてゐる昼寝かな | 北側松太 |
手枕のしびれて覚めし昼寝かな | 大塚哲也 |