残雪

どの歳時記でも「残雪」は仲春の季語になっている。二十四節気の区分で言う「初春(しょしゅん)」は立春から啓蟄の前日までの約ひと月間、「仲春(ちゅうしゅん)」は、啓蟄から清明の前日までの約ひと月間である。暦に置き換えると、仲春は三月六日頃から四月四日ころまでで、「残雪」が仲春の季語ということは、初春の頃は、まだ雪が降り続く期間とみていい。
今年の天候がそれをよく語っている。立春をすぎてからの大雪は、日本ばかりでなくヨーロッパも震え上がらせている。青森市の酸ヶ湯や山形県の大蔵村では四メートルを越える積雪を記録している。新潟県の上越地方の山間部でも積雪が四メートルに迫ろうとしている。雪残る畦をわたつて芹つみに 岩井善子
句は、畦道に残った雪を踏んで田芹を摘みにゆくという。あたたかい一日だったのだろう。今年は田も山も厚い雪に覆われていて、当分のあいだ、芹摘みにはゆけそうにもない。「残雪」という季語には土の匂いがある。ほのかに暖かい土のにおいをかげるのもまだまだ先の話である。(きぬた)
