今日の季語_青田
【鑑賞】
一点の偽りもなく青田あり 山口誓子
見渡す限りの青田である。「偽りもなく」はその青さをたたえての言葉。「偽りもなき青田かな」でないことに注目したい一句。「青田かな」は感動を内にとどめ、「青田あり」は感動を外へ押し出す。
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青田面、青田風、青田波、青田道、青田時
【解説】
稲が成長して青々なびく夏の田のこと。
【分類】
晩夏・地理
【例句】
| 楽しさや青田に涼む水の音 | 芭蕉 |
| 傘さしてふかれに出し青田かな | 白雄 |
| 山々を低く覚ゆる青田かな | 蕪村 |
| なつかしき津守も遠き青田かな | 蕪村 |
| しんとして青田も見ゆる簾哉 | 一茶 |
| 脊戸の不二青田の風の吹過る | 一茶 |
| 涼風や青田の上の雲の影 | 許六 |
| むら雨の離宮を過ぐる青田かな | 召波 |
| 松風を中に青田の戦ぎかな | 丈草 |
| 山門や青田の中の松並木 | 正岡子規 |
| みちのくや青田に降りる山の雲 | 岸田稚魚 |
| 日の落ちしあとのあかるき青田かな | 久保田万太郎 |
| 土間ぬけて遠山へ去る青田風 | 桂信子 |
| 潮ぐもり青田ぐもりにつづきけり | 桂信子 |
| この国に青田の青のある限り | 後藤比奈夫 |
| 甲斐駒ケ嶽ふかぶかと青田入れ | 広瀬直人 |
| 山裾を白雲わたる青田かな | 高浜虚子 |
| かゞやきのある雲が青田向ふより | 細見綾子 |
| ところどころ風吹いてゐる青田かな | 山口いさを |
| 一点の偽りもなく青田あり | 山口誓子 |
| 汽車行きて峡の青田を見下しぬ | 山口波津女 |
| その青田ひとめぐりして別れけり | 山本洋子 |
| はれたりふつたり青田になつた | 種田山頭火 |
| 書きだめて手紙ふところ青田道 | 石橋秀野 |
| 合羽着て父煙り去る青田道 | 石塚友二 |
| 日本海青田千枚の裾あらふ | 能村登四郎 |
| 刀根の水ゆたかにひきし青田かな | 野村喜舟 |
| 松二つ京へのぼる青田かな | 長谷川櫂 |
| いまごろは故郷の青田見たまふや | 渡辺文雄 |
| 青田道砥のごとく濡れゐたりけり | 清水芳朗 |
| この島の青田の中や能舞台 | 岩井善子 |
| 青田風もうすぐ母となる人に | 北側松太 |

