今日の季語_蝸牛

【鑑賞】
光陰は竹の一節蝸牛 阿部みどり女
「光陰」は移り行く時間のこと、竹の一節がかたつむりの時間の尺度ということであろう。
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かたつぶり、ででむし、でんでんむし、まいまい
【解説】
マイマイ科の陸で生きる巻貝。二本の角を出しながら木や竹の幹、葉の上などをゆっくりと這う。梅雨のころによく見られ、若葉を食して生きる。
【分類】
三夏・動物
【例句】
| かたつぶり角ふりわけよ須磨明石 | 芭蕉 |
| 白露や角に目を持つかたつぶり | 嵐雪 |
| ころころと笹こけ落ちし蝸牛 | 杉風 |
| かたつぶりけさとも同じあり所 | 召波 |
| 夕月や大肌ぬいでかたつむり | 一茶 |
| 親と見え子と見ゆるありかたつぶり | 太祗 |
| 我むかし踏みつぶしたる蝸牛かな | 鬼貫 |
| 蝸牛や降りしらみては降り冥み | 阿波野青畝 |
| 光陰は竹の一節蝸牛 | 阿部みどり女 |
| 蝸牛たがひの音を聞き分けて | 鎌倉佐弓 |
| 昏れんとし幹の途中の蝸牛 | 桂信子 |
| でで虫の葉に触れしよりうすみどり | 今井杏太郎 |
| でで虫や昨日も今日も路地に雨 | 菖蒲あや |
| 青き夜の猫がころがす蝸牛 | 真鍋呉夫 |
| かたつむりたましひ星にもらひけり | 成瀬櫻桃子 |
| ちぢまれば広き天地ぞ蝸牛 | 正岡子規 |
| 幹下りて地這ふ梅雨の蝸牛 | 西山泊雲 |
| 朽臼をめぐりめぐるや蝸牛 | 西山泊雲 |
| 蝸牛やどこかに人の話し声 | 中村草田男 |
| きざはしに日照雨すぎたる蝸牛 | 長谷川双魚 |
| 家建てて晩年が来て蝸牛 | 辻田克巳 |
| 力まずに過す余生や蝸牛 | 八谷きく |
| かたつむり甲斐も信濃も雨の中 | 飯田龍太 |
| 一生の重き罪負ふ蝸牛 | 富安風生 |
| 蝸牛のあめつちあをし芭蕉林 | 飴山實 |
| かたつむり汝も一齢加へしや | 片山由美子 |
| 蝸牛の角風吹きて曲りけり | 野見山朱鳥 |
| 木に草に雨明るしや蝸牛 | 長谷川櫂 |
| 薄日さす雨は楽しや蝸牛 | 小寺敬子 |
