本能
囀の楽しい季節。鳥の名はわからないが、いろいろな鳥の鳴き声を聞いていると心がはずむ。恋が成就して、あきらかに今年の子とわかる鳥が庭を動き回っているのを、毎年ひやひやとして眺めていた。飛び立つ時黄色い色がひらひらと見えるカワラヒワは、親鳥より一回り小さい。ほっそりとしたウグイスやセキレイ、ギイーギイーとやかましいヒヨの中にも今年生まれた子がまじっている。スズメの子もいる。まだこの世に経験の浅いそれらの雛をねらって猫が木陰からじっと様子を伺う。あきらかに獲物を狙っている野生動物の姿。伸びきってストーブの前で寝ていた姿とは大違いだ。ある時、木陰からスズメをねらっているのを見て、慌てて声をかけたその一瞬、無事逃げたと思ったスズメは無残にも猫にくわえられている。猫は地にいるスズメを狙ったのではなくスズメの飛び立つその先を見据えて、鳥に飛びかかったのだ。生まれ持った能力とはいえ、驚くばかりだ。家飼の猫も外に出たスキに鳥を捕らえ、自慢気に飼い主に擦り寄ってくる。誰が教えた訳ではないが、これが本能なのだろう。
猫に捉えられるという自然の摂理によって落とす命もあれば、今年生まれた多くの仔猫が身勝手な人の心によって保健所に引きとられ処分されるという現実もある。(立)
