
入道雲のこと。強い日差しを受けて発生する上昇気流により生まれる。巨大な山にみたてて「雲の峰」という。
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雲の峰ひとりの旅をつづけをり 大峯あきら
「雲の峰」と「旅人」の取合せ。よくある形かもしれないが、遠くまで来たんだなあ、というしみじみとしたものが感じられる。
しづかさや湖水の底の雲の峰 一茶
「湖水に映ゆる」ではなく「湖水の底の」である。ひんやりとした雲の峰。
旅に出ねばそれもあこがれ雲の峯 森澄雄
こちらは、何かの事情で旅に出られない。やはり「雲の峰」と「旅」の取合せ。
米喰はぬ日は怒りがち雲の峰 大木あまり
肉料理ばかりでは気性も荒くなるということか。「雲の峰」が怒りをなだめてくれるようである。
かつてここに堅田蕉門雲の峰 長谷川櫂
「雲の峰」という大いなる<空間>と「かつてここに」という<時間>の経過。バランスのよい俳句である。(m)

「五月雨」といえば芭蕉の、「五月雨をあつめて早し最上川」がすぐ思い浮かぶ。

春の風には開放感、夏の風には生命力、冬の風には荒寥感がイメージされるように、秋の風には蕭条とした思いが宿る。夏から冬に向う、言わば下り坂の季節が秋、吹く風もそこはかとなく寂しいのは当然のことである。

