食べ物歳時記4 大根
先日テレビ懐かしい景色を見た。越冬のため白菜やキャベツを吊るして保存していた。昔、東京から結婚して此方へ来た時、どの家も廊下や涼しい所に、新聞紙に包んだ野菜を同じように保存していた。新米主婦は、マーケットに行けば青々としたキャベツや新鮮な白菜があるのにと思いせっせとスーパーに通ったものだった。今では、真冬のブロッコリーをはじめ、二月ともなれば山菜から、グリンピース 空豆、アスパラガスと何でもある。別に並外れた長寿を期待している訳ではないが、長生きの秘訣の一つに四里四方の旬のものを食べるとある。これは道理を得てしかも美味しい。関東の乾燥した空気で育った野菜より、見目形は悪いが雪の下から掘り出した大根の甘さみずみずしさは驚くばかり。白菜もしかり。貯蔵した白菜は、しっとりと甘く柔らかく煮あがる。今年もおでんの大根はあちこち手を尽くして、地元のものを調達した。昔の人は実に地に足付けて生活していたのだ。この冬は庭に野菜を貯蔵する場所でもつくろか。
雪から掘った大根が手に入ったら、生のサラダを。千切りにした大根に少し塩をふり、十分か二十分置き余分な水気を切る。これにごま油と酢醤油をかける
細切りの海苔と軽くローストした松の実をパラパラと散らす木の実のコクが大根の旨さをひきててくれる。(立)