まいまい句会感想②
囀は足下にあふれ大吊橋 さら紗
芭蕉の「雲雀より空にやすらふ峠かな」を連想します。もう一工夫がほしいところです。
菜の花を湯がいて香り立つ夕餉 文女
湯がいて香りたつは料理の手順のようです。「菜の花をさつと湯がいて夕餉かな」くらいで良いと思うのですが、きっと作者は物足りないのでしょう「お浸しに残る花菜の香りかな」とか香りに焦点をあてる言い方もあると思います。
ゆく春や鐘楼の鐘谺する 政己
鐘楼とは鐘つき堂のこと。鐘楼の鐘は少し考えもの。梵鐘の音でよいのでは?「ゆく春や梵鐘の音谺して」
病む鼻に花粉飛び交う春の風 あやめ
「病む鼻」がダイレクトすぎるように思います。「春風や花粉に鼻のむずむずと」(これでは報告ですが)「春風に杉の花粉のどこまでも」など言い回しを考えてみて下さい。
自ずから車座となる花の宴 いつせ
「花の宴」より「花筵」のほうが景が見えてくると思います。
旅の垢を払う軒下初つばめ 輝久
旅の垢を払うのは人間だと思うのですが、もし燕が海を渡ってきたその旅の垢を払っているとするのであれば少し無理だと思います。
ほろ酔ひの頬刺しゆくや桜東風 雅宏
頬を刺す風と言えば冬の冷たい風を連想します。「頬さます」くらいで良いのではないでしょうか。
(立)