作句あれこれ② 因果関係・理屈を詠まない
因果関係が成立している俳句は、理屈の俳句です。いくつか例を挙げてみましょう。
梅雨晴間だから布団干す → 布団干す梅雨の晴間だ今のうち
汗をかいたから行水をする。 → 行水や牛馬のごとく働いて
雨が降るから紫陽花が生き生きする → 紫陽花の色を深めて今朝の雨
雨が降ってきたので洗濯物を取り込む → 夕立や洗濯物を取り込んで
廃屋なので草が茂る → 人棲まぬ家なり夏草荒れ狂ふ
因果関係に頼ると、たやすく句ができるものです。しかし、1+1=2という数式以上のものは望めません。余韻のある句は1+1が5にも10にもなります。
前出の例句、季語を変えてみましょう。
布団干す梅雨の晴間だ今のうち → そこはかと梔子の香や布団干す
行水や牛馬のごとく働いて → 星涼し牛馬のごとく働いて
紫陽花の色を深めて今朝の雨 → 梅の実に色がきてをリ今朝の雨
夕立や洗濯物を取り込んで → 夕虹や洗濯物を取り込んで
人棲まぬ家なり夏草荒れ狂う → 人棲まぬ家風鈴の鳴りひびく
俳句は理屈で詠まない、難しいかもしれませんがぜひ身につけておきたい基本です。(kinuta)