スケッチ 横川浜の河川敷公園
先日、新潟市秋葉区小須戸横川浜の河川敷公園で吟行したのですが、人工的な場所では風情がなく、なかなか俳句が浮かびません。そこで、その時の様子を、スケッチ風に描いて、そこから何か俳句のヒントになるようなものが生まれてこないものかと試してみました。
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その公園は信濃川の河川敷にあった。周囲四百メートルグランド三つ四つほどの広さだろうか。地面のほとんどは黄色くなりかけている芝生で覆われ、土のままの遊歩道が公園の外郭を縁取っていた。
小鳥来る広々として河川敷
枯芝や心もとなきわれの影
枯芝に雀の遊ぶ日和かな
柳の巨木が三本、それぞれ百メートルほどの感覚で立っていた。晩秋というのにまだ青々と繁って、芝生の上に淡い影を落としていた。川風があれば柳の葉はゆさゆさと揺れるのだろうが、ほとんど無風なので柳はただ垂れ下がっているだけだった。
やはらかく芝に影して秋柳
大いなる樹も石ころも秋の影
よい日和で、遠くの低い山並みがくっきりと見えていた、山にある雑木一本一本が見分けられるほど空気が澄んでいた。低い山並の向こうには粟が岳がそびえていたが、こちらは少しぼんやりとした色に浮かんでいた。
遠山や紅葉してゐる五六本
河川敷公園に人影はまばらで、スケートボードで遊んでいる若者が二人、遊歩道を散歩している人が一人、あとは、公園を管理している人四五人がのんびりと作業していた。そのうちの一人は芝刈り機に水をかけている。
よく晴れてゐて深閑と秋の苑
芝刈機に水を浴びせて冬支度
公園の芝生を踏んで、信濃川の岸辺に向かったが、信濃川と公園の間にはうっそうとした葎があって、岸辺まで行くことができない。葎には大きな川柳の木が数十本あって、それに葛がびっしりと絡まっていた。葎のところどころに背高泡立ち草がびっしりと生えていて、黄金色の花が今を盛りと日に輝いていた。鵯がぎーぎーと鳴きながら川柳から川柳に飛び移っていた。
鵯が葎の中を飛びだせる
このあたり葛と泡立草ばかり
山に近いあたりにはいくつかの浮雲が見られたが、空は美しく澄み渡り、一機のヘリコプターが西から来てゆっくりと東の方に去っていった。———
浮雲の三つ四つ五つ秋の山
秋空にヘリコプターが吸はれ行く
(m)