嬉しい出来事もないが悲しいこともない、うたかたのような人生を象徴するかのようなしゃぼんだま。 (m)「季語 石鹼玉(春)」
彼岸寺こぼれるやうに雀ゐて 宇咲冬男
富士を背に草食む牛の日永かな 今井律子
ひと時のつもりがひと日春炬燵 森本哲雄
からまつの林に遠し春灯 小川軽舟
夕空や日のあたりゐる凧ひとつ 高野素十
大丈夫づくめの話亀が鳴く 永井龍男
いつの間に風冷えて来し辛夷かな 星野立子
辛夷が咲くころは寒さが戻ってくる頃でもある。(m)「季語 辛夷(春)」
花辛夷空青きまま冷えてきし 長谷川櫂
空冷えて来し夕風の辛夷かな 草間時彦
まいまい句会感想10
88 祭壇の遺影は若ししゃぼん玉 あけみ 1
「雛壇」に「遺影」、ちょっとどきっとします。「しゃぼん玉」は要らない。
雛壇に飾りて若き遺影かな
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90 アネモネとふと目が合うてゐたりけり 以と 0
この擬人法はちょっと強引。
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93 立春を過ぎての雪の重さかな 弓楽 1
春になって雪が重くなる、これが理屈。
まいまい句会感想09
68 妻の留守猫とあずかる二月かな 喜太郎 0
生活感のある季語を。
妻の留守猫とあづかる春炬燵
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72 雪を積む音あたたかや山眠る りつ 3
「雪を積む音あたたか」がパラドックス、こういう技法もある。
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86 早春の光を返し耳飾り 百合 0
きれいな一句、きれい過ぎるのかもしれません。