まいまい句会感想②
往来へ色なだるるや春の花舗 政己
「なだるる」は少しオーバーだと思います。例えば「店中に色あふるるや」などとすれば雰囲気は伝わると思います。
堅つぼみ梅枝びしばし空を刺し 淳次
俳句を始めた頃はどうしても自分の感じた事を伝えたくて言い過ぎてしまいます。俳句は作るのも大切ですが、その句を読みとる力も大切です。例えば季語に「柳」と置けば柳の風情、その風や植えられている場所までも想像するものです。この句はまさに読み手の想像を殺すような作りで、「青空へすいと伸びたり梅の枝」で十分梅の枝の感じは出ると思います。
春時雨寝てる子叩き起こし朝 まこと
春の雷嫌な予感のベルが鳴り まこと
二つともドラマチックで作り事のような句になってしまいました。
兄弟の九九聴ひてゐる磯焚火 葦たか
「磯焚火」の季語が少し唐突の感じがします。また「聞いてゐる」でも良いのですが、俳句は一枚の写真のようにその場を上手く切り取る事が大切。この場合兄弟で九九を唱えている様子を俳句にしたほうが良いのではないでしょうか。
薄紅の選定枝や雪とける 一穂
「剪定」も「雪とける」も季語ですが、雪国では雪のある間に剪定をします。この句も全部言ってしまい最後に駄目押し的に「雪とける」などと置いてしまいました。「紅の剪定の枝雪の上」くらいでいいと思います。
卒業や矮鶏に別れの餌を遣りぬ 雅宏
意味はよくわかりますが少しごちゃごちゃしています。それは。卒業があれば別れはいりません。少し整理して「野の草を鶏にやり卒業す」くらいで良いのではないでしょうか。
(立)