まいまい句会感想③
手の平を転ぐ一色蝉の殻 輝久
少し只事のようです。「色のなき色転がつて蝉の殻」
蛇を斬りて刃鞘へと秋祭 輝久
此方の方はちょっとフィクションのようで真実味が感じられません。
六甲の泉ぽこぽこ烏瓜 葦たか
泉は季語なので、「ぼこぼこと六甲山の泉かな」でよいと思います。
梨ひと切れじょうずに食べてまだ乳歯 さら紗
秋出水田に行く父を止めきれず さら紗
二句とも俳句の形にはなっていますが、読み手は「ああそうですか」で終わってしまいます。
朝風の紫苑そのまま壺に活く ひとみ
ピザ屋まで大秋晴の田んぼ道 ひとみ
花少し残し紅葉のさるすべり ひとみ
三句ともできているのですが、面白みがありません。何が面白くてどこを俳句にするのかを考えるべきです。長く俳句をしているとここでストップしてしまう方が多いのですが、ここから自分らしい俳句を作っていく努力をなさって下さい。「朝風の紫苑を壺に活けにけり」
(立)